「ちょいとした用件があるんだよ」
俺はそういって切り出した。
「おめえ俺によ、生命保険をかけちゃあいねえかい?」
にぃ、と相手の口元に笑みが浮かんだ。
「その笑みは肯定と受け取っていいんだな」
だが、相手はその問いには答えなかった。
「そうか、もうそんな時季になったかよ」
肉の内にふつふつと何かが沸き立ってくるのがわかった。
「その書類をよ。見せちゃあくれねえかい」
「あぁいいぜ」
「いつ見せてくれるんだい」
「簡易保険のお知らせってはがきが来てるからよ。てめえに送ってやるぜ」
たまらぬ年末調整であった。
獏文体って俺にとっては難しいな。
とりあえず面白くないシロモノにしてしまったな(´・ω・`)
獏文体ともかく、実家の親がかけてくれてるらしいから、保険料控除のためのアレを送ってもらうために電話したらば。
「おめえもうすぐ誕生日だろうがよ」
と、言われて、脳髄が揺さぶられた。とりあえず最近は、誕生日どころか、いちいち今年から自分の誕生年を引いて計算しないと自分の歳を思い出せないような有様なので、とりあえず歳を聞かれたら30、と、きりがいい鯖を読んだ数字を答えるようにしている。
同じきりがいい数字でも20とか言ったりすると、「それは本気で言ってるのか」などとマジレス返されても困るので30なのである
今年は親のおかげで珍しく事前に誕生日を思い出せたので、とりあえずみんなひっそりと祝っていけばいいと思います。
まぁそんなこと言ったって、華麗にスルーされるわけだが。
あぁ、呪いは打ち返します。
PR